ほろり |
そんな経験をたくさんしています。
なぜかな?そういう時期なんだろうね。
きっと私にとって必要なことなんだ。
仕事も楽しくて、
私なりに頑張ってる毎日だけど、
そんなときだからこそ、
前ばかり見ないで、
ふと立ち止まってゆっくりまわりを見渡すことも大事かもしれない。
そんなほろりと心がほどけたものとの出会い。
そのひとつが、三谷龍二さんの本。
先日の三谷龍二さんとテーブルを囲んだ時間は、
本当に私にとって大切なできごとだったのかもしれません。
そのときいただいた本が、
「僕のいるところ」
誰にでもあった、こどもの頃の純粋なきもち、
大切な何かを思い出すような本です。
どのページにも、三谷さんの温かで素朴な優しさがあふれています。
三谷さんが作る木の作品に感じるあたたかさと同じものを文章からも感じました。
読んでいるとあたたかい気持ちになります。
たとえば、「肩車」 (抜粋)
この子が肩の上に居続けて
いつまでも地上に降りなくて
すむのならいいのだけれど
そんな訳にはいきません。だから、せめて
肩の上にいられるあいだだけは、
「いつでも登っていいよ」そう、お父さんは思っていたのです。
読んでいて、涙があふれそうになりました。
もうひとつ、三谷さんが撮った写真を集めた
「ちいさなじかん」も、大切な宝物になりました。
いわゆるピエゾグラフ版というもので、
三谷さんの素朴な作品が、まるで美しい紙芝居のようにとじこめられています。
「偶然見つけたものとか、拾ったもの(笑)、転がってた石とか、
そういうわけのわからないものとかを並べて撮ったりするの好きなんだよね」
と、こどものような無邪気な笑顔で語った三谷さん。
作品には、作り手の心が表れると思います。
飾らないお人柄、温かさと優しさ。
千年以上の年月を生き抜いた木を器にし、
そこで感じた「ちいさなじかん」を大切にする三谷さんだから、
多くの人に愛される作品をつくりあげられるのかな、などと思ったりしました。
見ていると、こころがほっこり、
こころのなかの何かが、ほろり、とほどけるのを感じます。
だから、私の教室の片隅に、
いつも見えるところに飾っておくことにしました。